口内フローラと全身の健康
口内フローラとは?
口の中には 100〜300種類、1,000億個以上 の細菌が共存しており、この集まりを「口内フローラ」と呼びます。
多くは健康維持に役立ちますが、バランスが崩れると口臭・むし歯・歯周病などの原因になります。
口の菌と全身の病気
近年の研究では、口内フローラの乱れが 糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞・認知症・一部のがん など、30以上の病気に関与する可能性が示されています。
なかでも糖尿病と歯周病の関連は強く、歯周病治療が血糖コントロールの改善に寄与することが報告されています。
トラブルが起きるメカニズム
- 菌が増える: 糖などをエサに菌が増殖し、日和見菌が病原性を帯びやすくなる。
- プラーク形成: 歯面に付着したプラーク(歯垢)が、むし歯・歯周病の原因に。
- 歯周ポケット内の炎症: 酸素を嫌う菌が増え、出血や腫れが進行。炎症物質が血流に乗り全身へ波及する恐れ。
歯周病は“気づきにくい病気”
歯周病は自覚症状が乏しいまま進行する「サイレントディジーズ」。基準とされる
歯周ポケット4mm以上の人は約半数にのぼるという報告もあります。
歯ぐきの腫れ・出血・口臭の悪化は要注意サインです。
プラーク撃退:実践の3か条
① 歯磨きは“やさしく・細かく”
鉛筆を持つようにブラシを持ち、歯と歯ぐきの境目を小刻みに動かして磨きます。
② フロスや歯間ブラシは歯磨き前に
先に歯間清掃を行うと、その後の歯磨きの効果が高まります。
③ 定期的なプロケア
3〜6か月ごとに検診とクリーニング。歯石・バイオフィルムを除去してリセットします。
予防歯科の流れ
- リスク評価: 歯周ポケット・出血・プラーク付着・生活習慣をチェック
- セルフケア最適化: 染め出しで磨き残しを可視化し、道具の使い分けを指導
- プロフェッショナルクリーニング: 歯石除去・フッ素塗布など
- モニタリング: 3〜6か月間隔で再評価し、計画を更新
まとめ
これからの歯科は「治す」から「守る」へ。口内フローラのバランスを整え、
日々のセルフケアと定期的なプロケアを続けることで、むし歯・歯周病の予防だけでなく全身の健康維持にもつながります。